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微惑星の形成

星の形成とともにそれを取り巻く原始惑星系円盤とよばれるガス円盤が誕生します。原始惑星系円盤にはミクロンサイズ程度の固体微粒子(ダスト)が含まれており、ダストの集積を経て惑星が形成されますが、惑星になる途中のキロメートル程度の天体を微惑星とよびます。ダストから微惑星へは、ダスト間の重力の影響で形成されたという説があります。この説に基づいた微惑星形成過程の数値シミュレーションを紹介します。

シーン解説
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微惑星形成中の細かな構造を調べるために、円盤全体から小さな領域を取り出して計算を行いました。この映像では、ダストの塊を白いふわふわの粒で描き表しています。1つの粒はセンチメートルよりも大きなダストの塊に対応します。

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中心星の重力やダスト間の衝突、ガスとダストの摩擦の影響で、ダストが徐々に円盤の赤道面に集り、薄いダスト層ができます。ダスト層が薄くなるほどダストが密集し、ダスト間の重力の影響が強まってきます。

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縞模様のような構造が見えてきました。ダスト層が非常に薄くなるとこのような特徴的な構造を作ります。ダスト間の重力により、濃い部分がより周囲のダストを引き付けようとします。そのため、このような縞模様が形成されます。この現象を「重力不安定」とよびます。

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前のシーンから約1年後の様子です。
この頃になると、縞模様の濃い部分の中に、さらに高密度の部分ができてきます。その1つを近づいて見てみましょう。

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近づくとダストが集まってできた天体であることがわかります。これが微惑星です。縞模様の濃い部分ではダスト間の衝突が激しく重力も強いため、ダストの集積が一層速まります。そのためこのような微惑星が形成されるのです。

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前のシーンからさらに1年ほどたつと、微惑星に周囲のダストが集積するために縞模様が消え、微惑星も大きくなります。

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多数の微惑星が形成されたため、微惑星間の衝突が発生しやすくなります。衝突した微惑星は合体し、1つのより大きな微惑星となります。誕生した微惑星はおよそ1キロメートルから10キロメートル程度に対応します。微惑星間の衝突が続き原始惑星へと成長していきます。

数値計算詳細
計算目的重力不安定による微惑星形成過程の研究
計算モデル粒子間衝突を考慮した重力多体シミュレーション
計算に使用した粒子数:約15万体
使用した計算機GRAPE-DR(CfCA, NAOJ)
現象の時間スケール全体で約5年程度
現象の空間スケール約1万km
数値計算を行った人道越秀吾(筑波大学,計算実行時は同志社大学,国立天文台)
参考文献Michikoshi, S., Inutsuka, S.-I, Kokubo, E., and Furuya, I., 2007, ApJ, 657, 521
映像化詳細

この計算は、計算領域(映像の最初に表示される青枠)の左右の端および前後の端がそれぞれつながるようになっています(周期境界条件)。映像にする際は計算結果をコピーし、より広い空間を表現しています。
ダストの塊は白いモヤモヤとしたテクスチャをポリゴン板に貼ることで、ふわふわした見た目を表現しています。
映像は360度立体視映像として作成しているため、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)で見ることも可能です。

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映像クレジット

シミュレーション:道越秀吾、小久保英一郎
可視化:中山弘敬、楢﨑弥生
国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト

リリース情報

2016.7 バージョン1.0 公開

個人や学校教育での利用は自由です。クレジットの明記をお願いします。
博物館等での展示・上映および、映像番組・出版物などでの利用は事前の申請が必要です。
詳しくは利用規程をご覧ください。

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