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原始惑星の巨大衝突

我々の太陽系において地球型惑星が作られる領域では、微惑星の衝突合体によって火星サイズの原始惑星が10〜20個ほど作られます。それら原始惑星がお互いに衝突合体をすることによって地球サイズの惑星が作られたと考えられています。原始惑星同士の衝突は巨大天体衝突と呼ばれており、地球や金星は複数回の巨大天体衝突を経験したと考えられています。特に、地球で起こった最後の巨大天体衝突で、月が作られたと考えられています。ここでは、初期段階で起こる火星サイズの原始惑星同士の典型的な衝突シミュレーションを紹介します。

シーン解説
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火星サイズの原始惑星がお互いの重力で引き合い衝突しようとしています。衝突速度はおよそ5km/sで、ピストルの弾の約10倍の速度で衝突します。

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衝突速度が速いため、岩石でできた固体の惑星と言えども、水飴のように流体的に大きく変形します。また、衝突によって解放されるエネルギーは凄まじく、衝突付近の温度は5000Kを超え、ほとんどの岩石がどろどろに溶け、一部分蒸発もします。

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今回の衝突条件では、1度目の衝突では合体しませんでしたが、1度目の衝突によって相対速度が遅くなった原始惑星は、2度目の衝突によって合体し、ひとつの大きな原始惑星となります。2度の衝突で、大量の岩石物質が周辺に撒き散らされているのがわかります。

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原始惑星の衝突が、正面衝突ではなく、斜めに衝突したため、合体した原始惑星は高速回転します。この回転運動により、さらに大量の溶けた岩石が2本の腕を伸ばすように赤道面周辺にばらまかれていきます。

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原始惑星の遠い場所と近い場所で、回転の速度が異なるため、腕状の構造はどんどん引き伸ばされ、内側部分は原始惑星の周辺に巻き取られていきます。

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原始惑星から離れた場所では、物質を引きのばす潮汐力が弱いため、自己重力によって何箇所かに小さな固まりが形成します。その固まりが原始惑星に近づくと、強い潮汐力で引きちぎられることもあります。

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この衝突条件では、最終的に、衝突によって大量にばらまかれた岩石物質の広がった円盤が原始惑星の赤道面上に形成されます。

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この円盤が、やがて冷えて、月のような大きな衛星が形成されるかもしれません。

数値計算詳細
計算目的地球型惑星形成過程で起こる巨大天体衝突プロセスの解明
計算モデル流体計算:標準SPH法
重力計算:ツリー法
状態方程式:岩石と鉄(Tillotson EOS)
計算に使用した粒子数:100万
使用した計算機普通の計算機(ELSI VT-Cluster)
現象の時間スケール約1日
現象の空間スケール直径約 5000 km の原始惑星
数値計算を行った人玄田英典(東京工業大学 地球生命研究所)
参考文献Genda, Kokubo & Ida, 2012, ApJ, 744, 137 (8pp)
Genda, Kobayashi & Kokubo 2015, ApJ, 810, 136 (8pp).
映像化詳細

映像の色は粒子の内部エネルギーを反映しており、よりエネルギーが高いものほど赤色 → 黄色と表現しています。

映像は360度立体視映像として作成しているため、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)で見ることも可能です。

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映像クレジット

シミュレーション:玄田英典
可視化:中山弘敬
国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト

リリース情報

2016.7 バージョン1.0 公開

個人や学校教育での利用は自由です。クレジットの明記をお願いします。
博物館等での展示・上映および、映像番組・出版物などでの利用は事前の申請が必要です。
詳しくは利用規程をご覧ください。

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