私たちの住む地球とその衛星である月は、どのようにして生まれたのでしょう。 巨大衝突による月の形成に基づいたコンピュータ・シミュレーションを元にした映像で、その成り立ちを見てみましょう。 (「地球と月の誕生」内の映像を一部更新して、月の誕生部分を独立させた映像です)
地球は、巨大衝突を繰り返して成長しました。月はこうした巨大衝突の、おそらく最後の衝突によって生まれたのではないかと考えられています。
中心からはずれたところに衝突をすることによって、衝突天体は完全に地球と合体して一つになるのではなく、その一部が地球の周りを回る円盤を形成します。これが月の材料になります。
冷えて溶岩のようになった月の材料は、自分の重力で集まり無数の月になります。これらの月の種は合体して急速に成長します。
月の材料は、地球のすぐ近くでは潮汐力にじゃまをされて、塊にまとまることができません。地球からある程度離れた場所で、塊が成長していることがわかります。
衝突後、円盤が冷えて固体粒子ができてから一ヶ月ほどもすると、すべての月の種を食べつくして、一つの大きな塊が残ります。これが月です。地球の月もこのようにして生まれたのではないかと考えられています。
基本となるモデル | 巨大衝突説 |
計算目的 | 巨大衝突による原始月円盤形成 |
計算モデル | 計算手法:重力計算 + SPH(ポリトロープ) 計算に使用した粒子数: 6×104個 |
現象の時間スケール | 数日 |
現象の空間スケール | 4-5地球半径 |
数値計算を行った人 | Robin M. Canup(Southwest Research Institute) |
参考 Reference | R. M. Canup, W. R. and E. Asphaug 2001, Nature, 412, 708-712 |
基本となるモデル | 巨大衝突説 |
計算目的 | 原始月円盤からの月集積 |
計算モデル | 計算手法:重力計算(GRAPE) + Rubble Pile 計算に使用した粒子数: 1×105個 初期条件: 全質量をロッシュ半径内に配置 |
使用した計算機 | GRAPE-4 |
現象の時間スケール | 1ヶ月 |
現象の空間スケール | 4-5地球半径 |
数値計算を行った人 | 武田隆顕(国立天文台) |
参考 Reference | Takeda & Ida, 2001, ApJ, 560, 514-533 |
この映像の後半部分は、ドーム用の映像を元に平面化しているので若干画面端で歪みがあります。