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図

銀河衝突(I. 平行な衝突の場合)

銀河はずっと同じ姿で存在しているわけではありません。数十億年という時間の間には、銀河同士のの衝突や合体が起きています。そのような衝突が起きた時には何が起こるのでしょうか。

このシミュレーションでは、銀河衝突の様子をこれまでにない高解像度でシミュレートしています。衝突する銀河の間で、星間ガスが圧縮されて星団が生まれる様子が、この高解像度シミュレーションによって、初めて再現できました。

シーン解説
図1

左手前と、右手奥から、同じサイズの銀河が近づいています。この映像では銀河内のガスを強調して表示しています。

図2

このシミュレーションでは、衝突する銀河同士の銀河面が同一平面上にあります。星間ガス同士の衝突によってガスが圧縮されて、非常にガスの濃い領域が生まれています。

図3

ズームアップして見てみます。衝突面に帯状に濃いガスの塊が生まれています。

図4

この帯状のガス雲の中で星が生まれ、それらが合体して巨大な星団が形成されました。この計算では全部で11個の星団がこの初期遭遇時に生まれました。

図5

銀河は先ほど出来た星団のいくつかを引き連れて、いったんすれ違いました。

図6

片方の銀河のズームアップです。銀河中心の周りに星団が存在しています。これらの星団の中には初期遭遇時のあとにさらに形成された星団も含まれます。

図7

このシミュレーションでは、銀河の衝突速度は余り大きくないために、互いの重力に束縛されて、再び衝突を起こします。

図8

最終的に、銀河同士が合体して1つの大きな銀河になりました。
銀河衝突が引き金になる星団形成は、衝突の向きなどが大きく影響するはずです。現在、違った方向からの衝突の場合などについて研究を行っています。

数値計算詳細
計算目的銀河衝突によるスターバーストと星団形成過程の解明
計算モデル計算手法:重力計算(TREE-GRAPE法)、ガス相互作用(SPH法)、放射冷却、星形成、超新星爆発
計算に使用した粒子数:ダークマター 3×107個, バリオン 2×106
使用した計算機「天の川創成プロジェクト GRAPE-7クラスタ」及び「Cray XT4」
現象の時間スケール~10億年
現象の空間スケール~50万光年
数値計算を行った人斎藤貴之(国立天文台)
参考 ReferenceSaitoh, T.R, et al., 2008, PASJ, 60, 667
Saitoh, T.R, et al., 2009, PASJ, 61, 481
映像化詳細

このシミュレーションは、星をあらわす粒子、ガスをあらわす粒子、ダークマターをあらわす粒子の3種類の粒子の運動を解いているものです。ここでは、星をあらわす粒子、ガスをあらわす粒子の2種類を表示して映像化しています。

映像クレジット

シミュレーション:斎藤貴之
可視化:武田隆顕
国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト

リリース情報

2009.10 バージョン1.0 公開

個人や学校教育での利用は自由です。クレジットの明記をお願いします。
博物館等での展示・上映および、映像番組・出版物などでの利用は事前の申請が必要です。
詳しくは利用規程をご覧ください。

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