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図

宇宙の大規模構造

宇宙の大きさが現在の約1/40であった約130億年前から現在までに、宇宙の大部分の質量を担うダークマターの分布や運動がどのように進化してきたのかを、大規模多体シミュレーションで調べた結果を映像化したものです。

シーン解説
図1

宇宙初期ではダークマターはほぼ一様に分布していました。しかし、わずかな密度のゆらぎも存在していました。これが宇宙の大規模構造の種になります。 この箱は、当時の宇宙の一部分を切り取ったもので、青いガス状のものがダークマターをあらわしています(現実にはダークマターは見えません)。この状態から、シミュレーションを開始します。立方体の大きさは、一片が現在の3億光年に相当しています。

図2

ゆらぎは重力によって時間と共に成長します。密度が大きくなったところは重力が強くなり、そうすると重力でまわりのダークマターを集めてますます密度が大きくなるからです。やがて揺らぎから細かい網目状の構造が作られます。ダークマターの密度の大きいところには普通の物質も集まり、銀河が生まれます。ここでは銀河は、白い光の粒で表現されています。 銀河はこの網目構造に沿って運動し、網目の節に銀河団が形成されていきます。

図3

宇宙は膨張しているので、シミュレーション領域はそれにあわせて大きくなっています。この映像では、シミュレーション領域の大きさが一定になるようにして表示しています。
後半は、シミュレーションによって再現された現在の宇宙の大規模構造の中を旅しています。

図4

このシミュレーションで、最も大きい銀河団の質量は太陽の約1015倍にもなります。これは銀河系のさらに10000倍もの質量になります。

図5

最後にシミュレーションにより再現された宇宙の大規模構造の全体像を表示します。 このシミュレーションでは、ダークマターを1億3000万個の粒子として表現しています。 これは現在のコンピューターで行える最大規模のシミュレーションです。この場合、粒子1つあたりの質量は3×108太陽質量に相当します。

数値計算詳細
基本となるモデルΛ-dominated Cold Dark Matter Model
計算目的銀河の分布及び統計的性質の再現
計算モデル計算手法:重力計算(AMR-PM法)、銀河形成(準解析的モデル)
計算に使用した粒子数:1.3×108
計算に使用したメッシュ:512×512×512 + 階層格子
初期条件:一様 + ΛCDMモデルに基づいた微小な揺らぎ
境界条件:周期境界条件
使用した計算機VPP-5000
現象の時間スケール~137億年
現象の空間スケール~3億光年
数値計算を行った人矢作日出樹(国立天文台; N体シミュレーション)、長島雅裕(京都大学; 銀河モデル)
参考 ReferenceYahagi, Nagashima, & Yoshii 2004, ApJ, 605, 709
Yahagi & Yoshii 2001, ApJ, 558, 463
Davis, Efstathiou, Frenk, & White 1985, ApJ, 292, 371
映像化詳細

この計算では、青がダークマター、白が形成された銀河です。ここではそれらの粒子をすべて半透明なポリゴンとして表示して映像化しています。最初に計算領域の箱と初期分布を示した後に一瞬画面が暗くなりますが、そこが計算の開始を表しています。この映像では、36秒かけて130億年の宇宙の(一部の領域の)進化を映像化していることになります。映像の後半部分は、計算の最後に相当する時間で止めて、計算された宇宙の大規模構造を見てまわっています。

映像クレジット

シミュレーション:矢作日出樹、長島雅裕
可視化:武田隆顕
国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト

リリース情報

現在公開している映像は、宇宙の大規模構造バージョン1.01です。映像化の技法が更新されたり、新しいシミュレーションの結果などを映像化して公開するときには、随時バージョンを上げていく予定です。

2005/2/9 1.01 ムービー内のクレジット表記の誤りを訂正しました。関係者の方にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。
2005/2/1 1.0 WEB公開開始

個人や学校教育での利用は自由です。クレジットの明記をお願いします。
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