空間3次元と時間1次元の4次元で最新の宇宙像を描き出す、それが4次元デジタル宇宙(4D2U)プロジェクトです。最先端の観測装置から得られるデータや、スーパーコンピュータによるシミュレーションデータを、立体視で科学的に正確に可視化することで、宇宙を「目の当たり」にすることを目指しています。
天文学の対象である宇宙の空間スケールと時間スケールは莫大です。そして、さまざまな空間スケールで、それぞれの構造があり、その空間スケールに対応した時間スケールで変化しています。そのような宇宙の構造と進化を明らかにするために、天文学者は日々研究を続けています。この「4次元デジタル宇宙プロジェクト」もそのような取り組みのひとつです。
「4次元」は宇宙の次元(空間3次元と時間1次元)を意味し、「デジタル」はデジタルデータを使ったコンピュータグラフィックスによる表現を意味しています。4次元デジタル宇宙は英語で、4-Dimensional Digital Universe です。このアクロニム(頭文字)を使って、4D2Uプロジェクトと呼んでいます(2個のDをD2と表記)。4D2Uにはまた、“4-D to you”(4次元をあなたに)という意味も込められています。
この「あなた」には「天文学者」と「一般の人々」のふたつの意味があります。つまり、4D2Uプロジェクトの目的はふたつあるということです。ひとつめは、天文学者に現実には得難い3次元の視点を提供し、研究に役立ててもらうということです。最近の大規模3次元シミュレーションでは、計算結果を直観的に理解するために、 自在な3次元的視点が不可欠になってきています。これは大規模観測のデータ解析の場合でも同じです。ふたつめは、天文学の最新の成果をわかりやすく、楽しく、そして科学的に正しい映像表現で一般の人々に伝えるということです。国立天文台には世界でも一線級の望遠鏡による観測データや、スーパーコンピュータによるシミュレーションデータがあります。これらを可視化して、最新の宇宙像を描き出すのです。
4D2U プロジェクトは2001年から始まり、当初は3面のスクリーンを用いた立体視システム「4次元デジタル宇宙シアター」を開発し、そこで上映するための立体映像やデータ可視化ソフトウェアなどの「4次元デジタル宇宙コンテンツ」を制作してきました。さらに、2007年には当時世界初となる立体視ドームシステム「4D2Uドームシアター」を国立天文台三鷹キャンパスに設置しました。現在は、立体映像コンテンツと4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka」の開発を中心に活動しています。
4D2Uプロジェクトが開発したコンテンツはすべて本ウェブサイトにて無料で公開しています。これらのコンテンツは理科教育・天文普及の現場をはじめ、テレビ番組や書籍、アートやエンターテイメントなどの目的に広く利用されています。さらに、三鷹キャンパスの4D2Uドームシアターでは、4D2Uプロジェクトが開発したコンテンツを用いて無料の定例公開を行っています。
ぜひ、「あなた」も4D2Uプロジェクトが描く最新の宇宙像を「目の当たり」にしてみてください。