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図

銀河系内の水素ガス分布の観測

私達の住む銀河系内に存在する水素ガスの分布を、電波望遠鏡の観測データーを元に再現したものです。我々は銀河系の中に住んでいるため、通常の私達の目で見ることができる可視光では、塵などにさえぎられて銀河系全体を見渡すことはできません。電波によって観測することによって、銀河系全体の姿を知ることができるのです。

ここではHI(エイチワン)と呼ばれる中性水素原子の分布と、一酸化炭素COの観測を元にH2(中性水素分子、銀河系の中心部に多く存在します)の分布を解析しています。

シーン解説
図1

私達の太陽系の位置と、銀河中心の位置です。銀河中心をはさんだ反対側は、ガスの分布を精度良く求めることができないために表示していません。

図2

中性水素原子(HI)を赤で、中性水素分子(H2)を緑で表示しています。良く見ると、銀河系の分布は完全に円状になっているのではなく、少し歪んでいるのが分かります。赤く表示されている部分の構造が目立って見えていますが、詳しく見てみると、全部で5本の腕を確認することができます。

図3

銀河系の中の星やHIガスの分布に比べて、H2ガスの分布は中心面にそって分布しています。真横からH2ガスの分布を見てみると非常に薄く分布しているのが分かります。

図4

太陽系側から、斜めに銀河のガス分布を見ています。HIガスはH2ガスの円盤を包み込むように存在しています。 HIガスは非常に広く広がっており、半径約6万5千光年程度まで達しています。これは星の円盤の1.5倍くらい大きく広がっていることになります。

図5

横から断面図にして見てみると、HIディスクは外縁部で上下方向に歪んでいる姿が見られます。こうした構造はウォープと呼ばれ、このような構造は銀河の約半数程度で見られています。

解析詳細
基本となるモデルClemens (1985) 及び Dehnen and Binney (1998) による銀河回転モデル
解析目的銀河系の3次元地図の制作
観測に使った望遠鏡オランダ、ドゥウィンゲルー20m電波望遠鏡:オーストラリア、パークス18m電波望遠鏡:アメリカグリーンバンク43m電波望遠鏡、 アメリカ、ニューヨーク、1.2m望遠鏡、チリ、セロトロロ、1.2m望遠鏡
観測波長21cm輝線、12CO(J=1-0)輝線
空間スケール10万光年
解析を行った人中西裕之
参考 ReferenceNakanishi and Sofue, PASJ, 55, 191 (2003)
Nakanishi and Sofue, PASJ, 58, 847 (2006)
Dame et al. 2001 (12CO(J=1-0)データ)
Hartmann and Burton 1997 (HIデータ)
Kerr et al. 1986 (HIデータ)
Burton and Liszt. 1986 (HIデータ)

電波望遠鏡の観測では、ガスが放射する電波の強度とそのガスが視線方向にどれくらいの速度で運動しているか(視線速度)が分かります。しかし、望遠鏡の向いている方向は分かりますが、ガスの位置を決めるためには、そのガスがどれぐらいの距離にあるかを知らなければなりません。銀河系が回転しているために(銀河系の回転速度は別の方法から求められています)、距離と視線速度との関係が分かります。この関係を使って、ガスの位置を知ることができるのです。

映像クレジット

データ解析:中西裕之
可視化:林満
国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト

リリース情報

2008.1 バージョン1.0 公開

個人や学校教育での利用は自由です。クレジットの明記をお願いします。
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